2011年7月25日月曜日

田中功起個展「雪玉と石のあいだにある場所で」

見に行った日:2011.7.23


会期:2011.7.16-8.20
会場:青山|目黒
詳細:http://aoyama.s352.xrea.com/exhibition/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%8A%9F%E8%B5%B7-in-a-place-between-snow-balls-and-stones


展覧会初日の1週間後の23日がオープニングレセプション、との案内だったので、23日に行ってみた。遅い時間に行ったので、宴たけなわ、ギャラリー前の路上でさえ人で溢れていた。それでも作品はゆっくりと見ることができた。壁にはここの場所で今とはちょっと違う位置に置かれた作品の写真のプリントアウトがラフに貼られている。一度はこうして展示したってことなのかな? そのラフな感じが、進行形な感じと、絶妙なユルさを演出している。

メインに据えられたのはビデオ作品。フリーマーケットに参加した顛末を収めたものだ。ヤシの葉をフリマに出店するも売れない、売れない…。アドバイスめいたふうに好き勝手なことを言い放っていく通りすがりの人たち。ヤシの葉を売ってる奴はあんまり見たことないけれど、その他はよく見かける光景だ。そして、フリマ主催者側の係員らしき人が巡回してきて、撤退を命ぜられるところで、このストーリーは終わる。どうにもならなかったものが、どうにもできなくなって、終わってしまうのだ。しかも、撤退する様子も撤退後の様子も映像にはない。だから、ほんとはどうしたか、どうなったかはわからない。さっきまでずっと見守っていた「あれ」はどうなっちまったんだ? 観客だけが映像上のストーリーの中に取り残される。その「取り残された感」が何とも居心地悪く、また、それに気づかされて気恥ずかしい気分にもなり、「取り残されてなんかいないわよ」てなフリをして、繰り返される映像を観ている自分にも、また居心地悪くなり…。いや、でもね。この居心地悪い宙ぶらりんにさせられてしまう感じ。これだよこれ。田中功起くんの作品の気持ちの良い居心地の悪さ、というか、居心地の悪い宙ぶらりんの気持ちよさ(うう、何言ってんだか、自分でもわからなくなってきた)。表面上は異なる作品だが、大事なことは変わっちゃいない。失ってはいけないものは失わずに持ち続けている。そう思えたら、何かとても嬉しくなった。そしたら、これまでの作品がアタマの中でリワインド&リピートされ始めた。おっと、現場の作品を観なくちゃ。そう思って、見遣った壁面には、トロントの屋外でゼリーを固めるって作品が。大声で笑いそうになった。いいぞいいぞ〜! やっぱ、このヒト追っかけるの、止めらんないわ(笑)

そういえば、ご本人のお姿を拝見するのは、すんごい久しぶりである。まだ彼が学生の頃、世田谷美術館の中の市民ギャラリーで展覧会をしていたときにお会いしたきりだったのだ。そのことを、ご挨拶した時に伝えたら、とても驚かれて、「あれは長谷川祐子さんの企画でやらせてもらえたんだけど、結局長谷川さん観てくれなかったんだよね」なんて話を聞かせてくれた。そうだ、たぶん、私は長谷川さんから聞いて、行ったんじゃなかったかなぁ。ま、もはやそれは笑い話。ていうか、そのことがまた、彼の作品のような出来事じゃないか、と、帰り道でそんなことを考えて思い出し笑い。

0 件のコメント:

コメントを投稿