2011年1月25日火曜日

[project N] 吉田夏奈展

見に行った日:2011.1.16


会期:2011.1.15〜3.27
会場:東京オペラシティアートギャラリー


[project N] は、若手作家を取り上げるシリーズで、オペラシティアートギャラリーの2Fのコリドール(廊下のような展示空間)で行われている。企画展とは特に関連させてはいなかったように思う(少なくとも私がこれまでみた限りでは)。だから今回もそのつもりで、曽根裕展を観てからこちらを観た。

長い壁の長さをめいっぱい使って、複数のキャンバスが並べられていて、山が描かれている。描いている道具はクレヨン。緻密な筆致の絵画なのだが、自然物をスケッチしたのとは違う感じで、いわゆる写実的な絵画ではない。が、この息が詰まるような緻密さは何だろう。そこにごろごろと転がっている岩の感触が伝わってくるような、そんな緊密な距離感。身体が感じた世界を、キャンバス上に転写するような感じ、というのか。

...ん? この、世界の捉え方って、曽根とよく似ているじゃないか。形態は違うけれど、同じ方向を目指している。これは希少な...

と思って、解説文を読んで腑に落ちた。吉田夏奈は、2003年に曽根が秋吉台でやった、「理想の洞窟」のワークショップの参加者だったのだ。「理想の洞窟」は、私も観に行っていた。その記憶を思い起こしてみると、「カナちゃん」と呼ばれていた子がそういえばいたなぁ...と思い出した。絵画を手がけるようになったのはそのワークショップが契機になったそうだ。それを知ってから改めて眺めてみると、作品のあちこちに、“曽根的なもの”を感じた。それは決して「真似」ではない。表現の根幹にあるものが、「共通」している、というか、根幹にあるものを「共有」しているのだ。

吉田夏奈は、曽根の真の理解者であり、正統的後継者である。

...まさに、こういうのを“Perfect”って言うんじゃないか!
「やられた」感、倍増。

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