2012年4月20日金曜日

東京音図 4月定例会:オートマトン俳句

見に行った日:2012.4.20
(2012.4.22に書いていたのに公開してなかった。ので、2013.1.14加筆修正して公開。)

会期:2012.4.20 19:30~
会場:Artist (下北沢)



「東京音図」は、朗読アーティスト(勝手に命名)の赤刎千久子の企画によるイベントである。
今回は、歌人である田中槐による「オートマトン俳句」(*)。

「オートマトン俳句」には、2つの読み方があり得る。1つは、ランダムに生成された文字列として、淡々と機械的に読む方法、もう1つは、意味付けして、意味を感じさせるように読む方法だ。以前、「オートマトン俳句」を発表した際は、田中槐は全ての句を、この2つの読み方で読み上げていたが、今回はコラボレーションとして、田中と赤刎の2人で読む形だ。

赤刎が、無意味な文字列を機械的に読み上げる。
その後、田中が、それを意味付けし「俳句」としたものを読み上げる。

「永遠の文学少女」たる赤刎は、少女がその純粋さの故に時に残酷であるように、まさにその「純粋故に残酷な」振る舞いでもって、組み上げられた17文字をバラバラに解体し、宙に放り出す。放り出された音たちは、田中によって拾い上げられ、組み直されていく。破壊と創造。その繰り返しはまさに世界であり宇宙である。そしてそれは、無意味の中のわずかな裂け目にほのかに香る意味を嗅ぎ取っていく、という、田中の制作行為を露にする。そして我々は、秘されたものを垣間みるような、罪悪感と快感の入り交じった、スリリングでエロティックなひとときを体験する。


(*)「オートマトン俳句」は、「新・方法の夜 vol.4」(2012年2月18日開催)で初めて発表されたものだが、簡単に言えば、ランダムに生成した文字列からなる俳句である。ただし、季語はあらかじめ決めたものを入れる。したがって、
(季語)+(その季語を除いた文字数のランダムに生成した文字列)
という形になる.季語は必ずしも冒頭に来るわけではない。
ランダムに並べられた文字列が意味を成すことはまずあり得ない。それでも、意味を感じさせる文字の並びになることがあるのだという。膨大な無意味なはずの文字列の中から,そういう、意味を感じさせる文字列を選び取り、一部の文字を漢字表記するなどして、意味を感じるようなものにしているそうだ。