会期:2013.8.10-10.27
会場:白川公園エリア、長者町エリア
▼朝いちばん早く開く会場—名古屋市美術館—へ
とうとう3日目。この日の夕方には戻る予定だ。
前日名古屋泊だったため、朝から名古屋にいる。早めにチェックアウトして、朝いちばん早く開く、名古屋市美術館へ向かう。長者町エリアのど真ん中の宿からは、ほぼまっすぐで白川公園に到着。この公園には名古屋市科学館があるのだが、科学館はたくさんの子どもたち(と同伴の親たち)が長い、長い入場の列を作っていた。
その列を横目に、名古屋市美術館ヘ行くと、誰も並んでない(笑)。
館の前には、横山裕一の絵がペイントされた車がなぜか止まっていたが、そこにも誰もいない。トリエンナーレの入口は普段の入口とは違う裏側にあるらしい。入口まで移動したけど、やっぱり誰もいない。ちょっと到着が早かったようだ。
他に行くところもないので、外側から写真を撮って、しばらくベンチで待っていた。係員が5分前頃に現れ始め、看板類が置かれ、開館時間の9:30になると、入口を塞ぐように掛かっていたロープが外された。すると、あちこちから入口に向かってくる人々が現れた! みんなどこに隠れてたんだろ?
早速入ろうとするが入口横にテントがある。「予約」という声が聞こえたので行ってみると、藤森照信の泥舟の作品に入るための予約を受け付けている、とのこと。迷わず、予約。いちばん早いと、10:00だという。が、もう9:30は過ぎていて、美術館の中を観ていると、間に合うように出て来れないかも、と思い、10:30にした。
そして、美術館の中へ。入口を覆う家型の建造物は青木淳の作品だ。
入ってすぐに現れるのは、チョークのつまった箱。両翼の展示室の壁には黒板がかかっている。黒板は、誰にとっても「学校」を感じさせる物だと思うが、暗い、大きな展示室の中にあって、ぼんやりとしか見えない黒板は、曖昧な記憶で、思い出せない思い出のようで、何だか切ない気持ちにさせられる。
その奥は、イ・ブルの作品。天井から吊るされている繊細な彫刻が、床の鏡に映り込む。彼女の作品ではおなじみの展示方法だ。

展示室全体という大きな空間を感じつつ、区切られた展示空間に意識を向けることもできる。柔らかな仕切りは、自由な行き来を許し、空間を圧迫せず、心地よい空間を作り出す。展示室の空間を、こんなふうに空間だけ楽しむのは、初めてかもしれない。ふわふわと展示室を回り、1周すると出口の案内。係員が開けてくれるが、扉の外は、美術館の外階段。あらら、外に追い出されちゃったよ。展示はこれだけ?
庭を降りた先には、館内にもトリエンナーレ作品がある、との表示。入ってみると、あちこちの会場で見かけた、ブーンスィ・タントロシンの、ダッチワイフ人形のアニメーション作品があった。そして結局、普段の美術館の出入り口から出た。
ようやく10時。まだ30分ある。若宮大通公園に作品があるはずだが、美術館から近いのかな?と思い、その方向を見ると、それらしきものが。古い船のような物が見える。きっとあれだ。地図で見ると離れているように見えるが、この感じなら行って帰って来れるだろう。と思い、行ってみた。道路を渡ればすぐで、予想以上に近かった。
後半は、ちょっと時間が気になり、気が散ってしまったが、何とか全編見ることができて、機器を返却。慌てて美術館の方ヘ戻ると、泥舟の集合時間ピッタリ。

まだまだ午前中。これなら長者町エリアも回れそうだ。早速歩いて北上する。
▼伏見駅地下街:異界の入口は青色か

伏見駅の入口が青色になり、ドローイングが描かれていたのは前日も目にしていたが、地下に降りてみた。
一部屋丸ごと青い空間にしたものや、閉鎖された階段を青い空間にしたものなど、いろんなバリエーションがあったし、思いのほか作品点数もあり、楽しめた。誰もが楽しめそうなこれらの作品は、打開連合設計事務所の作品。
▼長者町エリア:作品スポットを訪ねつつ街歩き
さて、いよいよ長者町エリアだ。伏見駅近街を堪能していたら、長者町エリアの東端に来てしまったので、長者町通りを北上しながら見て、長島町通りを南下して一周することにした。このエリアは、1カ所1点、という感じ。地図で見るよりも実際歩いてみると近い。
シモジマ名古屋店で、丹羽良徳の映像作品。買ったものをもう一度買う、という作品が、店内に流れている。入れ子が入れ子になって妙な感じだ。
名鉄協商パーキングでは、ウィット・ピムカンチャナポンの空中を移動するガジェットと、前回のトリエンナーレの作品である、大山エンリコイサムのグラフィティとが競演。どちらもゲリラ感に満ちていて、よく似合っていた。
ARTISANビルは、水野里奈。ここは会期中に展示が入れ替わる。「現代美術展企画コンペ」という企画の中の展示である。好きなものを集めてみた、って感じのコラージュ。選ぶセンスが日本人っぽくないな、と何だか思った。
吉田商事1Fの横山裕一作品を眺め、八木兵6号館のシュカルトへ。やりたいことはわからないでもないが、ちょっとごちゃごちゃした感じだったかなぁ。
中部電力本町開閉所跡地では、Nadegata Instant Partyの展示。映画を作るワークショップは終わってしまっていてその報告が展示されている。参加した人たちがとても楽しんだことがよく伝わってきた。でも、その楽しい場にいられなかった残念感というか疎外感もちょっと感じたりなんかして。
八木兵8号館ビルは、丸ごと展示会場。
2Fは山下拓也の、なまはげ+アジアかアフリカの仮面、という感じの人形が並ぶ。
3Fには、お金(本物ではなさそう)を配るパフォーマンスをもとに構成された、ケーシー・ウォンのインスタレーション。
4Fは菅沼朋香の昭和の香り満載の喫茶店インスタレーション。ほんとに喫茶店にしちゃえばよかったのに。
そして1Fが、奈良美智らが作った「ウィ・ロウズ」。ここで昼食にする。名古屋市美の泥舟で一緒だった人に会う。「奈良さんのファンで、ここが見たかった」という彼女と話しながらカレーを食べた。
丹羽幸ミクス館のショウウインドウでは、AMRのメンバーが作業中だった。ガラスに絵が描かれているのだが、それもよく見えないし、中で何をしてるのかもよくわからない...。
MURASOU 1Fでは、マーロン・グリフィスのパフォーマンス映像とそのとき身につけていた衣裳やお面の展示。展示の仕方をもっと工夫したら楽しくなるだろうに。物置に雑然と放置された感じで、係員も何だか暇そうというか、つまんなそうだった。
旧玉屋ビルの壁面のグラフィティは、よくできていてレベルが高い。画力もあるしセンスも良くて楽しいめる。周囲にビルが建たないことを願ってしまう。街起こしでやってるのに、そりゃないだろうと言われるのは承知の上で。
八百吉ビルの壁面、豊島ビルの壁面には横山裕一の作品。これは見やすいしわかりやすいし、街がマンガの舞台になったようで楽しい。
アートラボあいち、地下の西岳拡貴の作品は、生糸を黒く染めたようなものが丸められて、床に置かれていた。それを、その上に渡された橋の上から眺める。この場所が繊維街ということで糸を使ったのだろう。
そして、長者町エリアのフィニッシュは、喫茶クラウンで、新見泰史作品を眺めながら、アイスコーヒー。
これで、ほぼ全ての会場を回ったはず。見落としたもの、観損ねたものはいくつかあるにせよ、これだけ観れれば満足だ。
この時点でまだ15:00頃だったかと。帰りのバスは17:30名古屋駅発。余裕、というか時間余っちゃった。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
<完>
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